びんぶた作製現場

皆さまこんばんわ、クリーム瓶のフタ彫り方講座の時間です。
これを見て「わたしもやってみよう!」と思う方がいるとも思えませんが、とにかく彫り方講座です。


今回の犠牲者…もといビンはこちら。
資生堂のクリーム瓶、底径5.3cm×高さ3.3cm。
側面にはラベル用の四角いヘコミが2か所あり、底には花椿マークが付いています。

   

◎準備するもの◎
 ・木材(今回は1.2cm厚のベニヤ)
 ・のこぎり
 ・彫刻刀(丸刀/7.5mm)
 ・紙やすり(#60・#120・#240・#400)60番と400番は省いても可。
 ・定規・鉛筆
 ・仕上げ用の油(食用油で充分)・いらない布
 ・治具・軍手・根気など必要に応じて用意
OKですか? では参りましょう。



定規で瓶のサイズを測り、フタの大きさを決めて切り出します。
円を切るのは難しいし危ないので、まずは八角形に。
角はヤスリで落とすことにします。

今回の場合、外側の直径5.3cm、内側は直径4.2cmです。


まずは内側からです。
治具のでっぱりに板を押しつけ、一心不乱に彫ります。
治具のない方は、滑り止めシートかなにか敷いてください(木皿作りの記事参照)。
新聞紙だと滑って危険ですよ。


彫るべし! 彫るべし!


ベニヤ板は、どのくらい彫ったか一目瞭然なので便利ですね。


側面は、彫刻刀を垂直に立てて、押し込むようにして彫ります。
時々、瓶にあてがってサイズを確認しながら彫りましょう。
ヤスリがけをすることも念頭に置いて、「ぎりぎりハマらない」くらいの大きさを心がけます。


#120の紙ヤスリをかけます。細かい部分や曲面にヤスリがけをする場合、消しゴムの破片にヤスリを巻いて擦るとうまくフィットします。

八割がたヤスリがけをしたらビンにはめ、きつければ彫刻刀で微調整し…を繰り返します。


内側が無事完成。
ネジこそ切ってありませんが、逆さまにしても落ちないくらいに調整してあります。


次は外側。八角形の角を#60のヤスリで落とします。
別に八角形のままでも構わないので、どのていど角を落とすかはお好みで。
角を残すなら、#120のヤスリでもOKです。
正直、手作業で完璧な円形を目指すのは無茶なので、「丸みをおびた八角形」ぐらいの方がいいと思います。つい削りすぎました。


上面にゆるやかなカーブをつけたかったので、彫刻刀で削ります。
このへんのデザインもお好みで。


削ったら、彫り跡がなくなるまで#120でヤスリがけします。側面も、#60でついたキズがなくなるまでヤスリがけ。


さらに、#240と#400の紙ヤスリを順番にかけて、つるつるにします。
もちろん内側も忘れずに。
#120だけでも問題はありませんが、ここで一手間かけると満足感が違います。

仕上げに、油をしみ込ませた布で全体を磨いたら完成!


   
おおー。旋盤もないのによくやった!(自画自賛

ラベルは、たまたま雑誌に載ってた資生堂『オイデルミン』のポスター画像を切り貼りしました(『装苑』2007年8月号・P94)。
なお、「オイデルミン」は1897年に資生堂が初めて出した化粧品で、「オイ=良い」「デルマ=皮膚」を表すギリシア語から名付けたそうです。ポスターは1926年に描かれたもの。
あ、このクリーム瓶はオイデルミンのものではないと思います。何が入ってたかは不明。


なにはともあれそんなわけで、その気になればビンの蓋は作れるということ、でも非常に面倒くさいことが分かりました。
暇とビンを持て余している方はぜひ挑戦してみてください。
 いそはえとり「作るのにどれくらいかかったの?」
 ひよまめ「んー…、6時間、くらい?」
うち5時間近くはサンドペーパー作業です。