珍しい動植物

先日、神田の古書店街に行った時に買った古本。
表紙にはカメレオンやハリセンボン、ウツボカズラなどが所せましと描かれています。

アルス社『日本児童文庫』という叢書の44巻、『珍しい動植物』という本です。
このシリーズは他に世界の童話や冒険譚などがあったようで、後に調べたところ、全76巻あるそうです。
『珍しい動植物』は昭和4年6月発行、著者は川村芿一・川村多實二。
予約会員にのみ配本する形式をとっていたそうで、1冊売りはしないという意味なのか、奥付には「非売品」と書かれています。


さてこの本、当然旧字体ではあるのですが、子ども向けに口語で描かれているのと漢字に総ルビが振ってあるのとで、割と読みやすかったです。
内容は、「世界最大の動物」「光る茸(きのこ)」など、国内外の生物を扱った読み物が45編おさめられています。「一時に多数あらはれる動物」としてサバクトビバッタ(「いなご」と書かれてたけど)も紹介されてました。

耳慣れない名前の生物も載ってましたが、挿絵がふんだんに使われているので、例えば「ときそーてす」はテッポウウオ、「つんぼう」はキソウテンガイ(ウェルウィッチア)だと予想できます。
ちなみに「ときそーてす」はテッポウウオの属名Toxotes
「つんぼう」って何かと思ったら、本文に「つんぼうといふのは、塊になってゐるといふ意味の土人の言葉」とありました。土人…。


中には正体不明な生き物も。
挿絵を見たいそはえとり氏が仰天したのは「首の長い蟻地獄」の図。
「エヂプトのピラミッドの石の間にすむものですが、狭い隙間にゐる小動物を捕へて食ふために、首がこんなに長くなつてをります」と説明されていますが、調べてもどんな種を指しているか分かりませんでした。
お客様の中に詳しい方はいらっしゃいませんかー!


2013年1月25日追記:このアリジゴク、川島逸郎さんから「リボンカゲロウじゃない?」とご教示いただきました。
Pterocroce属で画像検索したところ、幼虫は図版しか見つからなかったけれど、リボンカゲロウの仲間で合っているようです。
川島さん、ありがとうございます!