染色をめぐる冒険

さて、本日も染めものネタです。
(写真の比較対照用に、前回染めた黄色いカーディガンを置いてます。)

写真右の、白っぽいカーディガンも染めることにしました。
染料は黄色い方と同じタマネギですが、今回は鉄媒染にします。

鉄媒染液は、「錆びた釘その他を酢に漬けて放置したもの(=鉄漿)」を、水に少量混ぜて作ります。漬け具合によって濃度がかなり異なりますが、今回は約3リットルの水に鉄漿を小さじ1くらい。


染め方はミョウバン媒染のときと同じ。以前、綿麻の糸を染めた時は、緑褐色に染まりました。で、今回はというと…。

「…あれ?」

   

朽葉色というか、如何ともしがたいおばあちゃんカラー。
最初に染めたとき、染液が薄かったのか駱駝色(これまた如何ともしがたい)になったのが気に入らなくて、いったん乾かしたあと染め直してます。

室内では微妙な緑色ですが、陽射しを受けるとこれまた微妙な真鍮色に見えます。これは…着ないな。



しばし悩み、別の色に染め直すことにしました。
たまたま散歩中にクヌギの木をみつけたので、橡染(つるばみぞめ)に挑戦。ツルバミとはクヌギの古名で、クヌギのドングリ×鉄媒染で「黒橡(くろつるばみ)」という色になります。
黒橡はかなり濃いグレーなので、おばあちゃんカラーを打ち消すに違いない!


ちなみにクヌギのドングリはこれ→
似たドングリをつける木にアベマキがありますが、アベマキは樹皮がコルク状になってるので見わけられるそうです。私は触った経験がありません。

ドングリそのものを煮ると糊化して大変な目に合うので(経験済み)、殻斗すなわちドングリの帽子部分を拾ってきました。
83個で、約120g。これを煮立てると、濃いめのほうじ茶〜コーヒー色っぽい煮汁がとれました。


あとはタマネギ同様に染めれば、濃い灰色に…
「あれ?」

   

茶色です。森永ミルクココアの色。全然ビターじゃありません。


黒橡というよりは、無媒染でのクヌギ染めで得られる「黄橡(きつるばみ)」に近い色。
媒染液が薄かったのかとも思いましたが、媒染液そのものはどす黒くなったので、何らかの要因で布に定着しなかったようです。
タマネギ色素が邪魔をした? ウールだと定着しにくい? 温度が低いから?

かつてマテバシイのドングリで染色したときにはちゃんと灰色に染まったのに、不思議です。


撮影後さらにクヌギで染め、もうちょい深みのある茶色(やっぱりココア色)にしました。
タマネギ染めよりはまっとうな色になったので、ちゃんと着ようと思います。