徒花
街路を埋め尽くすナガミヒナゲシも散り、ワルナスビの花咲く季節となりました。外来種に四季を感じるのも微妙な気分です。
ヒナゲシといえば。
近所にポピーが野放図にはびこる地帯があり、てっきりどこかの庭からのこぼれ種が繁殖したのかと思っていたのですが、最近になって大変な事に気付きました。
「これ、あかんやつ(アヘン含有種)だ!」
アツミゲシ Papaver setigerum。
1964年に渥美半島で見つかった外来種で、今では雑草として各地に分布しています。他の覚醒植物同様、見つけたら通報する義務あり。もちろんあわてて保健所に連絡しました。
「これでただの園芸種だったら恥ずかしいな…」とも思いながら電話しましたが、ちゃんと(?)違法種だったようです。
駆除される前に写真を撮ったので、ナガミヒナゲシ(無毒な雑草)と比較しつつ特徴を見てみましょう。背景が写らないよう自重したので、アングルがいまいちなのはご容赦を。
花は薄紫。赤い花が咲くこともあるそうです。
若い実。ここに悪い成分が詰まっています。
こちらはナガミヒナゲシ。駆除しづらいという意味ではタチの悪い雑草ですが、少なくともアヘンは含みません。
アツミゲシの葉はギザギザで柄がなく、茎を抱き込むように生えています。ここが最大の特徴のようですね。
ナガミヒナゲシの方は、ギザギザというか何と言うか…。
春菊なみに切れ込んでいます。
つぼみと茎には白い毛がまばらに生えています。園芸種のポピーはもっともけもけしてるような記憶が。
ナガミヒナゲシの毛はもっと密に生えています。
保健所の方から頂いたパンフレットには、他の違法ケシ類も載っていました。ケシ(Papaver somniferum)の特徴はアツミゲシに似ている(ただし草丈が高く、花がピンク)けれど、ハカマオニゲシなどは園芸種そっくりです。
通報したアツミゲシは、その日の夕方には駆除されました。保健所の人、仕事早い!
別の場所にも別種のケシが生えていたそうで、違法ケシは予想以上に身近な存在なのかもしれません。見つけてしまったら、ちゃんと通報しましょう。
アヘンで身を持ち崩すのはどうかと思います。