GCAP体験記

まずは、おさらい。大雑把というか、正確でない部分もありますがご容赦を。

潰瘍性大腸炎とは、その名のとおり大腸に潰瘍ができる病気です。
カニズムは解明されてませんが、免疫異常が原因。
免疫とは、『自分以外のものを攻撃→排除する機能』のこと。
この病気では、なぜか自分の体を自分で攻撃してしまいます。

血液の中にはいろんな免疫細胞がいます。
白血球もそのひとつ。顆粒球・単球・リンパ球の3種類に大別できます。
血管を伝って体中をパトロールし、異物(細菌とか)を食べるのがお仕事。

で。
「じゃあ、免疫細胞を減らしたら、自分の体を攻撃することなくなるんじゃね?」と開発されたのが血球除去療法です。



では本題に参りましょう。透析室にやってきました。
体重を測り、ベッドに寝転がって血圧を測定します。
と、ここで臨床工学技士や先生方が困惑顔。血管が細いわ血圧が低いわで、治療ができるか微妙なラインだそうです。
「1分間に30mlの血を抜くんだけど、血液量が足りないかも。検査前に水分とってる?」と訊かれました。
たまたま昼食代わりに500mlペットボトル1本分のジュースを飲んだこと(断食中でハラヘリだったのです)、昼間に内視鏡検査をしたときに電解質水溶液を点滴したことを伝えると、「じゃあいけるかも」という流れになりました。駄目だったら輸血しながらの治療になるらしいです。


「こっちの方が若干太い」という理由で右腕の血管に脱血用の針を、左腕に返血用の針を刺し、それぞれチューブに繋ぎます。
右腕から抜いた血は抗凝固剤を混ぜて専用の機器に通され、左腕から体内に戻される仕組みです。
血球除去に使う機器の商品名は『アダカラム』。筒状の容器に、直径3mmほどの透明なビーズが詰まっています。このビーズが、血中の顆粒球と単球を吸着するらしいです。

なお、潰瘍性大腸炎の血球除去器には他に『セルゾーパ』というのもあり、こちらは顆粒球・単球・リンパ球(つまり白血球全種類)と血小板を除きます。
アダカラムを使った治療をGCAP(顆粒球吸着療法)、セルゾーパの治療をLCAP(白血球除去療法)と呼んで区別するようです。


血中の酸素を測り(クリップ状の測定器で指を挟むのですが、仕組みが未だにわからない…)、胸に心電図の装置を、足首に血圧の測定器をつけたら治療開始。
血流が弱まったときのために、柔らかいゴム人形みたいなのも渡されました。にぎにぎしてると、血行が良くなるらしいです。ところでこの物体、ナースは『カバさん』って呼んでたけど、サイじゃないかな…。角があるし。

血圧は10分ごとに自動測定されるので、時々足首がキュッと締めつけられます。腕で測るより数値が高めになるのか、教えてくれた血圧は高120−低65くらい。普段の最高値は90くらいなので、3桁だと新鮮(?)です。

小一時間ほど治療は続きますが、両腕とも肘の内側に穿刺してるので、動けません。今回の治療で問題なければ、次回から返血用の針は前腕に刺してくれるそうなので、本ぐらいは読めそうです。


そうこうするうちに治療終了。チューブに残った血液は、生理食塩水で押し出して体内に戻します。針が太い分、止血に時間がかかるそうで、針を抜いた後はナースさんが10分ほど押さえててくれました。

最後に血圧と体重を測っておしまい。理科の実験を見てるみたいで面白かったです(暢気)。
まれに抗凝固剤などの影響でアレルギーを起こしたり、気分が悪くなる方もいるそうで、初回のみ用心をとって入院させられましたが、次回から通院での治療です。


通院といえば、こんな会話もありました。
医師「車は運転しないでねー」
ひよまめ「自転車も駄目ですか」
医師「ハンドル握ると、針穴から血が吹き出すかも」
スプラッタだわ…。おとなしくバスで帰りましょう。