台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき

昨日の話ですが、友人の又旅団氏に誘われて、劇団『維新派』の舞台を観に行ってきました。
タイトルは「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」。


詳細はhttp://www.ishinha.com/ja/2010index.htmlへ。


「20世紀三部作」と題されたシリーズのアジア編で、明治から昭和にかけて東南アジア各地に散った日本人移民の軌跡を表現した劇です。
明確なストーリーや主人公が存在しないので、少々説明しづらいのですが。


「漂流」がキーワードで、移民政策によって、あるいは一攫千金を夢見て海を渡ったひとたちが時代に翻弄される様が、詩のような台詞と幻想的な踊りで綴られます。
マニラで、ボルネオで、ミクロネシアで。あるいは日露戦争で、太平洋戦争で、ベトナム戦争で。
終盤のサイパンの商人の叫びが印象的でした。
「30年かけて、サイパンは日本の町になりました。それが1945年6月、アメリカ軍によってたった7時間で消滅したのです。
ここはどこですか? …ここはどこですか!」



今回は劇場(さいたま芸術劇場)での公演でしたが、維新派の演劇は野外に巨大なステージを組み上げることで知られています。
犬島での公演も観た又旅団いわく、「3階建てのビルくらいの舞台が作ってあって、上るときに『はしゃぎすぎて落ちて死んでも文句いいません』って誓約書かかされたよ」とのこと。
四千本の丸太を組んだ舞台、ちょっと見てみたかったです。



劇とは関係ないけど、パンフレットに載ってた「維新派ご飯レシピ」がすごいです。
何がって、「材料はすべて60人分です。」ってあたり。米が5升に大根6本とか…。