新たなる全貌


今週は美術館づいています。今日は夫と千葉市美術館で開催されている『田中一村―新たなる全貌』展に行ってきました。(写真は図録の表紙です)


田中一村(1908-1977)は、30歳から50歳までを千葉で過ごし、その後奄美大島に移住してエキゾチックな日本画を描いた無名の画家(当時は)で、その画風と生き様から『日本のゴーギャン』とも言われるひとです。
没後にNHKの美術番組「日曜美術館」で紹介されてから一躍注目を浴びました。



「一村人気の大きな要因は(中略)作品群と、それらを生み出した彼の反俗的な生き方や信念を貫く人間的魅力であったといえます。私どもは、そこから生まれる伝説を捨象して、出来る限り作品と資料に沿って一画家としての実像を明らかにすることを心がけました」(図録『ご挨拶』より)


とあるように、今回の展覧会は、これまであまり注目されなかった初期の作品や、新たに見つかったスケッチ、内職として描いた肖像画なども展示されており、非常に面白かったです。
一番目に展示されていた、8歳の時に描いたという白梅図が彼の神童っぷりを示していて驚嘆。それに、同じ時期の作品でも、時々まったく異なる画風の絵を描いていて興味深いです。


絵が一般受けしなかったために中央画壇から無視され続けた人ですが、生前に注目されていたらどうなっていたのでしょうか。
…周りの評価がどうであろうと、黙々と描き続けたんでしょうね、きっと。