しらべものは楽し

以前紹介した「虎標清快水」の正体がわかったのでご報告。図書館にレファレンス依頼を出しておいたところ、きっちり調べてくれました。「インターネットの情報については、信頼度がわからないため、参考程度に」とのことですが、新聞や雑誌の記事が元になっているようですし、それなりに信憑性がありそうです。



『楚天都市報』の記事によると、「『清快水』は小さな白玻璃(訳注:透明ガラスのこと?)の瓶で、瓶の中心の線を境に、二回に分けて飲む」ものだとあります。確かに瓶の正面中央に横線が入っています。


また、1946年の台湾の新聞広告には、萬金油八卦丹、頭痛粉、清快水が「四大良薬」として掲載されています。


さらに雑誌論文「ホーパー・ブラザーズ社の成立 : 戦前期の東南アジアにおける華僑の企業者活動 」(※)の19ページにはこんな記述が。
「やがて(萬金油のほかに)2つの医薬品、頭痛治療薬と便秘薬を創るのに成功した。また四角く、平で固い錠剤の仁丹も売り出した。」
新聞広告の「四大良薬」と照合すると、八卦丹=平で固い錠剤の仁丹、頭痛粉=頭痛治療薬、清快水=便秘薬、となりそうです。おお、便秘の薬だったのか!


同論文には「軟膏はタイガーバームの名を付け直し、その他の製品にもタイガーの商標を採用した」とあるので、私が拾った虎マークの瓶は、ここの会社のもので合っているようです。
なお「ホーパー・ブラザーズ社」は、タイガーバームを作った永安堂の、のちの姿です。この論文、『プロジェクトX』を観てるみたいで面白いですよ。創業者の胡文虎ってすごい人だったんですね。


※リンク先の「cinii PDF」をクリックすると本文が見られます。
小林啓志, 2006. ホーパー・ブラザーズ社の成立 : 戦前期の東南アジアにおける華僑の企業者活動. 産研論集, 19: 15-28